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【日本医師事務作業補助研究会 第1回例会】 報告書

[2011.11.19]

日 時: 2011年11月19日(土) 12:30~17:00

場 所: 府中病院 セミナーホール

定 員: 100名

100名を越えるご参加をいただき盛会のうちに終了しました。

プログラム / 活動報告 )

第1回例会 | 日本医師事務作業補助研究会

 平成23年11月19日、大阪・府中病院にて日本医師事務作業補助研究会第1回例会を開催いたしました。全国各地から100名を超える実務者や管理者等が集結し、多くの方々のご協力のもと、実りある会を大盛会のうちに閉会することができました。まずは参加者、協力者の皆様に深く感謝申し上げます。

 本例会は、日本医師事務作業補助研究会会長 矢口智子による研究会の概要説明の後、ワークショップ1として「医師事務作業補助者への期待」、ワークショップ2として「医師事務作業補助者の業務拡大」についてご講演・ご発表いただきました。厚生労働省近畿厚生局 柳澤医事課長

厚生労働省近畿厚生局 柳澤医事課長

 今回は、厚生労働省近畿厚生局 健康福祉部の柳澤智仁医事課長がご臨席くださり、会の初めにご祝辞と激励のお言葉をいただきました。医師の負担軽減策として医師事務作業補助者の活躍を期待されていました。

【ワークショップ1】 医師事務作業補助者への期待

座長:土屋知穂(亀田総合病院 医師事務作業補助者)

「医師事務作業補助者の現状と将来展望」~研究者の立場から~
 東京医療保健大学 講師 瀬戸僚馬

 医師事務作業補助者が登場した背景、医師事務作業補助者の業務実態、医師事務作業補助者の将来展望についての講演が行われました。医師事務作業補助者の継続的な発展には、導入効果測定が何よりも重要であるとのことです。今後のこの研究会の大きな課題のひとつです。

「医師事務作業補助者の必要性」~院長の立場から~
 金沢脳神経外科病院 院長 佐藤秀次

 医師が医師事務作業補助者を活用すれば院内全体の業務効率化を図ることができるという、期待と実感のこめられた講演でした。医師事務作業補助者に求められる資質と能力は、①医師を始め各職種、患者とのコミュニケーション・スキル ②電子カルテやパソコンの操作能力 ③協調性、調整力、忍耐力 ④明朗な性格 を挙げ、医師とのパートナーシップの構築の重要性について言及しました。

「医師事務作業補助者の必要性」~事務長の立場から~
 東大宮総合病院 事務長 久保田巧

 医師不足問題の原因の一つに転職を挙げ、この問題を解決するためには医師の労働環境改善が急務であり、医師の本来の目的を再確認する必要があるとの指摘がありました。医師事務作業補助者に今後求められるものは、プレゼンテーション力、問題点検証能力、提案・実行力、結果検証力、専門知識であると述べ、医師事務作業補助者全体のレベルアップを期待するとのことです。

【ワークショップ2】医師事務作業補助者の業務拡大

 座長:南木由美(手稲渓仁会病院 医師事務作業補助者)

「文書作成における工夫と、National Clinical Database(NCD)症例登録の取り組み」
 東大宮総合病院 医師事務作業補助者 藤原典子

 医師事務作業補助業務として最も多いのが文書作成です。また、NCD登録業務も医師事務作業補助者が行っているという病院が増えてきた印象です。藤原さんからは、文書作成における問題点と工夫の発表がありました。

【文書作成のポイント】

・カルテから情報を読み取る能力を身につける。

・新人スタッフの問題に合わせた教育方法を導入し補佐する。

・教育と共に業務の効率化を念頭に置き業務の幅を広げる。

【NCD登録参加のポイント】

・登録を始める前に医師と協力し、体制を整えることが必要。

・診療記録だけでなく、検査結果からも情報を取得しなくてはならない。

・NCDの登録に参加するメリットとして、各施設や外科医の医療水準の向上、臨床研究の支援及び学会関係の事務作業の効率化などが挙げられる。

「医師事務作業補助者導入の評価と課題」
 潤和会記念病院 医師事務作業補助者 武田まゆみ

 医師事務作業補助者をこれから導入するという施設も多くあります。武田さんからは、導入法、評価、課題と方向性についての発表がありました。

【医師事務作業補助者導入1年目の取り組み】

・他職種の協力の下、32時間研修すべてを院内で実施。

・医師事務作業補助者の導入マニュアルをもとにタイムスタディを実施。MC(医師事務作業補助者)配置の要望があった診療科の外来では診療時間の70%が代行可能、看護師についても診療時間の80%が代行可能と、医師事務作業補助者の配置の有効性を示した。

・目的ある日報を作成し、評価の数値化や業務内外の問題の表面化に繋げた。

・休めない労働環境によるインシデントや離職を防止するため、2人でペアを組んだサポート体制を構築。

・白衣の着用。

【導入1年後の評価】

・外来診療では診察時間が平均3分短縮された。

・文書作成期間が大幅に短縮された。

  (主治医意見書約17.9日→6.6日生命保険診断書約20.4日→12.2日)

・診察時間、文書作成期間短縮によりクレームも減少。

【今後の課題と方向性】

・資格も免許も必要のない職種。医療知識ゼロの医師事務作業補助者を前提とした医療現場中心の教育体制の確立。

・人事考課制度を導入している当院においては、正しく評価するための職能要件書の整備。

・マニュアルの整備。

・病棟(入院)業務への拡大。

・医師事務作業補助者を「必要不可欠な職種」、「目指す職種」への確立。

・キャリアアップ。

・医師との信頼関係の構築。

「病床管理」 府中病院 医師事務作業補助者 堀田恵

 医師事務作業補助業務の拡大をテーマに、堀田さんからは全国的にも珍しい病床管理業務についてご発表いただきました。

【導入までの4つの対策】

・ルールの策定(病床管理手順の見直し)。

・システムの構築。

・ラウンド。

・PDCA。

【医師事務作業補助者導入効果】

・医師と看護師が共に診療業務に専念できる環境作り。

・病床利用率の向上。

・病床手配業務の時間短縮による患者負担の軽減。

・職種を超えた信頼と協力関係の構築。

【今後の課題】

・担当スタッフの育成。

・タイムリーな情報の閲覧システムの構築。

・退院調整を含めた病床管理の構築。

【急性期病院のあるべき姿】

・地域ニーズに可能な限り柔軟な対応を行う。

・医師が診療に専念できる環境を確保する。

・医療の質、経営の質、組織の質向上を継続する。

【特別発言】府中病院 病院長 田中肇先生

 最後に、今回の開催施設である府中病院の田中肇病院長より特別発言をいただきました。

 「医師事務作業補助者は、病院に絶対必要な職種だと思います。医師の負担軽減のためにという強い思いで勤務されている方々がいると、医師も心が救われます。」という激励の言葉で会は締めくくられました。

【参加者の感想】

「第一回日本医師事務作業補助研究会例会に参加して」
 大阪府済生会吹田病院 病歴管理室 MSグループ  蓮井くみ子 さん

 今回例会に参加させていただき、他院での取り組みを知ることが出来とても勉強になりました。H20年より医師事務作業補助者(以下MS)制度が始まり、各々の医療機関や個人で試行錯誤を重ねながら新しい業務を確立し広げていかれたことが分かりました。私自身医学知識ゼロからのスタートで、担当医師、他部署の方からのサポートを受ながら、徐々に業務内容や量が変わってきました。発表者の皆さんがおっしゃった「この仕事におけるコミュニケーション力の重要さ」を実感しております。特に今回同じ業務に就く者同士のネットワークの大切さを実感しました。

 この研究会が発足したことにより、現場で働いているMSの抱えている問題点や悩み事、成功例などを互いに報告し共有する事が出来、今後の活動にとって有意義なものになると思いました。MSとして働いていく上で、自分だけで解決できないことがあった時に相談できる仲間がいるということでとても心強く思います。制度が導入され数年しか経っておらず、まだまだ途上段階にあり、今回のような現場で働いているMSの生の声、また病院経営者、医師からMSへ期待することなど、様々な立場の人の声を聞く機会はなかなかありません。今後も是非積極的に例会などに参加し、情報交換していきたいと思います。

【日本医師事務作業補助研究会 事務局より】

 日本医師事務作業補助研究会では、

・医師事務作業補助業務に関する情報交換や調査

・医師事務作業補助者の実務能力の向上、業務環境の改善

・医師事務作業補助領域の開発及び普及

これらの活動を通して、勤務医の負担軽減に貢献し、医療の質の向上に寄与することを目指しています。

第2回例会は 平成24年6月30日(土)東京にて開催されます。どうぞよろしくお願いいたします。

日本医師事務作業補助研究会 事務局

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